止める判断、偏る融資、手放されるAI ― 10月4週の3点

10月第4週(10月18日〜24日)は、ウェブの土台となる開発言語PHPの欠陥で国内外のサイトが相次いで止まり、株式市場ではAI関連の売りが続いた週でした。経営者が見るべきは、「止める」判断の準備、銀行の貸出の偏り、AI導入を続けられるかどうかの3点です。

「サイトを止める」は事前に決めておく判断

世界中のサイトで広く使われるPHPに緊急レベルの欠陥が見つかり、修正版が出るまでの間、国内では金融機関を含む多くの企業がサイトやサービスを一時停止しました。一方、米国ではサイトを止めない企業が大半で、テック企業と政府が緊密に連携して対応したと報じられています。

止めた日本と止めなかった米国の差は、技術力よりも平時の段取りの差に見えます。中小企業にも、予約フォームやECサイト、会員ページといった外に開いた窓口は必ずあります。問題は、緊急時に誰が、何を基準に止めると決めるのかが、多くの会社で決まっていないことです。制作会社やサーバー会社に任せきりだと、連絡がつくまでの数時間がいちばん危ない時間になります。止めれば売上や問い合わせが途切れ、止めなければ漏えいの危険を抱える。どちらも経営の損得であり、現場や外注先に丸投げできる判断ではありません。同じ週、タイムズカーは免許証画像の流出を受けて約146万人に1人3000円、総額約44億円の見舞金を払うと発表しました。1日止めたときの機会損失と、漏えい後の補償や信用の損失を並べてみると、止めるほうが合理的な場面は思ったより多いはずです。

銀行のお金は不動産に寄っている

地方銀行の不動産融資はこの1年で3兆円増え、過去最大の伸びになりました。融資全体に占める不動産の比率は大手行を含めて18%とバブル期を大きく上回り、価格が高騰する都心5区では6割が地元外からの「越境融資」です。金融当局は、資金の流れが反転したときのリスクに警鐘を鳴らしています。

この数字は、不動産を持たない会社にも関係します。銀行の貸出が不動産に厚く寄っているということは、不動産価格が崩れたとき、銀行が全体の貸出を絞りにかかる可能性があるということです。その影響は、担保が弱く取引の浅い会社から先に受けがちです。一方で、地元の外まで出て貸しているのは銀行どうしの競争が激しいことの裏返しで、今はまだ借り手に条件が出やすい局面でもあります。借入の期間を延ばす、固定と変動の配分を見直す、取引行を一つに頼りすぎない。こうした手当ては、条件の良い今のほうが進めやすいはずです。自社で不動産を持っている場合は、評価額が下がったときに担保の追加や条件の見直しを求められる可能性も、資金計画に入れておきたいところです。

AIエージェントは「作ったあと」で決まる

調査会社のガートナーは、FDE(顧客の現場に常駐する技術者)の方式で作られたエージェント型AIについて、企業の70%が2028年までに放棄すると予測しました。理由にはコストの高騰と、自社で改良し続ける難しさを挙げ、看板だけの「FDEウォッシング」にも注意を促しています。

業務は少しずつ変わり、AIに任せる手順もそれに合わせて直し続けなければなりません。外の専門家が入り込んで作ったものほど、その人が離れた途端に誰も手を入れられなくなる。この構図は、かつての基幹システムや属人化したExcelと同じです。大事なのは、AIの性能より社内の持ち主を決めることです。小さな業務から始め、社員が自分で手順を書き換えられる範囲にとどめる。外部に頼む場合も、作ってもらうだけでなく、引き継ぎと社内の育成を契約の中身に入れる。そうしておけば、7割の側に入る確率はかなり下げられます。

今週の一手

1つ目は、自社のサイトや予約・問い合わせフォームについて、「緊急時に止めると決めるのは誰か」「制作会社やサーバー会社の緊急連絡先はどこか」を1枚に書き出しておくことです。2つ目は、社内で使っているAIや自動化の仕組みを並べ、それぞれに「直せる社員」の名前が付くかを確かめることです。名前が付かないものは、次の契約更新で引き継ぎを条件にしましょう。Earth Compassでは、こうした判断の持ち主や役割分担を決めるところから、組織づくりの伴走支援をしています。

出典

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