借金で走るAI、売れ残る中古マンション ― 10月3週の3点

10月第3週(10月11日〜17日)は、AIへの投資を支えてきた「借金」に、市場が初めて正面から疑いを向けた週でした。経営者が見るべきは、借入に頼った成長の脆さ、在庫が積み上がる市場での値付け、社員の配置替えの設計の3点です。

見られているのは「伸び」より「借金の返し方」

AI向けクラウドを手がける米コアウィーブについて、信用リスクを売買する市場(CDS)で、5年以内の債務不履行を6割程度と見込む取引が出ました。新興クラウド企業の社債利回りが急上昇して日本の半導体株に売りが広がり、15日の日経平均は3318円安と下げ幅で歴代3位を記録しています。

ここで注目したいのは、需要の有無ではなく資金の回し方が問われた点です。注文が積み上がっていても、設備を借金で先に買い込むやり方は、金利が上がる局面では一気に脆くなります。中小企業にとっての実務は二つあります。一つは、自社の借入を変動金利のまま据え置いてよいか、今のうちに銀行と話しておくこと。もう一つは、主要な取引先や外注先が借入に頼って急拡大していないかを見ておくことです。相手の資金繰りの悪化は、決算書より先に、支払いの遅れや納期の小さな乱れとして表れます。

売れない局面では「値付けの速さ」が差になる

東日本不動産流通機構によると、9月の首都圏中古マンションの成約件数は3,457件で前年同月比22.7%減となり、6カ月連続の減少で減少幅は最大でした。平均成約価格は5,111万円と4.5%下がり、在庫は5万450件と15.1%増えています。

件数が減り、在庫が増え、価格があとから下がる。これは買い手が様子見に入ったときによく見られる順番です。相場の転換点では、少し前の「高く売れた事例」に値付けを合わせ続けた売り手ほど売れ残り、最後に大きく値を下げることになりがちです。不動産や設備の売却、事務所の移転を考えている会社は、半年前の相場を前提にした計画を一度見直しておくとよいでしょう。逆に、事務所や店舗、社宅を探す側にとっては、条件交渉の余地が広がり始めた合図とも読めます。金利の先行きが定まらないうちは、購入より賃借で身軽さを残すのも合理的な選択です。

配置替えは「選び方」と「期間」を先に決める

みずほフィナンシャルグループは、営業や事務の社員を全社員5万人の中から順次選び、10年後に数千人規模のAI開発人材へ転換すると報じられました。既存の部門を縮め、金融サービスや社内業務のAIシステム開発に人を集める体制です。

大企業の話に見えますが、中小企業にこそ示唆があります。外からAI人材を採る競争では、賃金でも知名度でも大企業に分があります。一方で、業務の勘所を知っている社員を育て直すことは、規模を問わずできます。みずほの計画で目を引くのは、対象を順次選ぶことと、10年という時間軸を置いていることです。配置替えは「誰を」「どのくらいの期間で」「抜けた仕事を誰が埋めるか」を先に決めないと、本人には降格や放出に見えてしまいます。まずは現場に詳しい社員を一人選び、AIでの業務改善を任せて、成果の測り方と評価の仕方を一緒に作るところから始めるのが現実的です。

今週の一手

1つ目は、借入の一覧(残高・金利の種類・期日)を1枚にまとめ、今後1年で借り換えや金利の見直しが来るものに印をつけることです。2つ目は、社内で「AIを使った業務改善を任せたい人」を一人選び、3カ月の期間と評価の基準を決めて本人と話すことです。どちらも、市場が荒れている今だからこそ落ち着いて手をつけておきたい準備です。Earth Compassでは、こうした人の配置や役割の見直しを、組織づくりの伴走支援として現場の方々と一緒に進めています。

出典

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です