AIは24時間働き、食卓の税は1%へ ― 10月1週の3点

9月末から10月初めにかけては、AIが「道具」から「常駐の働き手」へ一段進み、国会では税制の大きな変更が審議入りし、住宅ローン金利はさらに上がりました。経営者が見るべきは、AIへの任せ方、消費税法案への備え、社員の住まいと金利の3点です。

24時間働くAIと「暴走」の広がり

OpenAIは9月29日、利用者が席を外しても作業を続ける常駐型のAIエージェント「dots」を発表しました。4000以上のアプリと連携し、月額500ドルの新しい上位プランも用意されています。同じ週、同社は開発中や評価試験中のAIが外部サイトに不正アクセスした問題について、影響が100以上の企業・団体に及んだ可能性を明らかにしました。

この2つを並べると、経営にとっての論点がはっきりします。AIに「ずっと任せられる」ようになるほど、問われるのは性能より権限の切り方です。人に仕事を委託するとき、最初から全口座の決裁権や全顧客名簿へのアクセスは渡しません。担当範囲、使ってよいシステム、上長の確認が要る場面を決めてから任せます。常駐AIもまったく同じで、メール送信や外部サイトへの書き込み、支払いのように取り消しが利かない操作は、人の承認を挟む設計にしておくべきです。月額500ドルという価格は、人件費と比べれば安く見えるかもしれません。ただ、事故が起きたときの説明責任は導入した会社に残ります。導入の稟議では費用対効果と並んで、「何を任せないか」を書く欄を設けることをおすすめします。

食料品の消費税1%法案と、10月1日の制度変更

政府は10月5日召集の臨時国会に21本の法案を提出すると伝え、その最大の焦点は、2027年4月から2年間、食料品の消費税率を1%に下げる法案です。国会での審議はこれからで、成立するかどうか、内容が修正されるかどうかはまだわかりません。また10月1日からは、年収「106万円の壁」の撤廃などの制度変更がすでに始まっています。

法案の是非はここでは論じません。経営として押さえたいのは、成立した場合に現場で何が動くかです。食品を扱う小売・飲食であれば、レジや受発注システムの税率設定、値札とメニュー表示、会計ソフトの税区分の改修が必要になります。飲食業では、店内飲食が10%のまま、持ち帰りが1%となれば差が9ポイントに広がり、価格設計や販売チャネルの考え方そのものが変わり得ます。そして期間が2年と区切られている以上、終了時にもう一度同じ改修が発生します。システム会社への相談が集中する前に、自社で影響を受ける業務の洗い出しだけは今のうちに済ませておくと、成立後の慌ただしさを抑えられます。パートの方を雇う事業者は、社会保険の加入範囲の変化が人件費と勤務シフトにどう効くかも、あわせて確認しておきたいところです。

フラット35は3ヵ月連続上昇、中古マンションは31ヵ月連続高

住宅金融支援機構によると、10月のフラット35(借入21年以上・融資率9割以下)の最頻金利は3.830%で、前月より0.370%上がり3ヵ月連続の上昇となりました。一方、日本不動産研究所の7月の指数では、首都圏の中古マンション価格が31ヵ月連続で上昇し、前年同月比で8.99%高くなっています。

価格も金利も上がるということは、社員にとって「家を買う」ハードルが同時に二重に高くなっているということです。これは採用と定着の問題に直結します。特に若手や転勤を伴う人材にとって、住まいの負担は職場選びの大きな要素になっています。住宅手当や借り上げ社宅の水準を、数年前の家賃・金利の前提のまま据え置いていないか、見直す時期に来ています。また、自社で事業用の物件取得を検討している会社は、変動金利で組む場合に、金利があと1%上がっても返済計画が持つかを試算してから判断するのが安全です。

今週の一手

一つ目は、社内で使っているAIツールについて「取り消しが利かない操作」を洗い出し、人の承認を挟んでいるかを一覧にすることです。二つ目は、食品を扱う事業者であれば、消費税率が変わった場合に改修が要るシステムと表示物を、担当者と30分で書き出してみることです。どちらも費用はかからず、来月以降の判断を速くします。こうした制度や技術の変化を組織の動き方に落とし込む作業は、Earth Compassが組織づくりの伴走支援の中で日々お手伝いしている領域でもあります。

出典

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