人が育たない組織は、育成を個人技にしている

人が育たない、定着しない——その原因を探すとき、多くの場合、話は「誰が教えるか」に向かいます。面倒見の良い先輩がいる部署は育ち、そうでない部署は育たない。しかしこれは、育成が個人の力量に委ねられていることの裏返しです。属人的な仕組みは、その人が異動した瞬間に止まります。

「教える人が良かった」で終わらせない

うまく育った例を振り返ると、たいてい特定の誰かの名前が挙がります。そこで止めてしまうと、再現できません。見るべきは人柄ではなく、その人が何をしていたかです。

最初の一週間で何を見せていたか。どの順番で任せていたか。どのタイミングで口を出し、どこからは黙っていたか。書き出してみると、多くは手順として書ける内容です。書けた時点で、それは個人技から仕組みに変わります。

最初の三か月に、何を決めておくか

新しく入った人が立ち上がるかどうかは、最初の三か月でおおよそ決まります。ここで決めておくとよいことは三つです。

一つ目は、何ができれば一人前かを先に伝えること。到達点が示されないまま日々の作業を渡されると、本人は自分の位置が分かりません。

二つ目は、任せる範囲を明示すること。どこまでは自分で決めてよく、どこからは相談するのか。この線が曖昧なままだと、本人は毎回確認するか、勝手に進めて叱られるかの二択になります。

三つ目は、失敗したときの扱いを先に決めておくこと。任せる以上、失敗は起こります。起きてから対応を決めると、本人には「任せると言われたのに怒られた」という記憶だけが残ります。

研修は、現場に戻ったあとが本番

研修そのものが無駄なわけではありません。ただ、受けた内容が現場で使われないまま消えていくことがあまりに多い。原因は、戻ったあとに試す場が用意されていないことにあります。

学んだことを一つだけ選び、次の一か月で試す。その結果を上司と短く振り返る。それだけで、研修は現場の変化につながります。逆にこの往復が無ければ、どれほど良い内容でも一日で終わります。

まとめ ― 育つ人がいる組織ではなく、育つ仕組みのある組織へ

人が育つかどうかは、才能や相性の問題に見えて、実際には設計されているかどうかの問題です。誰が担当しても同じように立ち上がるなら、それは仕組みが働いている証拠です。

Earth Compass では、組織開発、リーダーシップ研修、社員のスキルアッププログラムを通じて、育成の手順づくりと、その定着・改善までを支援しています。研修をして終わりにはしません。現場で続く形にするところまでをご一緒します。