「上からは数字を求められ、下からは負担を訴えられる」。中間管理職からこうした声を聞くことは少なくありません。経営者から見れば、現場をまとめてほしい存在。メンバーから見れば、方針を伝えてくれる存在。期待が両側から届くぶん、管理職は自分の役割を見失いやすい立場にあります。組織の動きの多くはこの層を通って伝わるため、管理職が迷っていると、組織全体の動きも鈍くなります。今回は、ミドルマネジメントを組織の要にするための3つの工夫をご紹介します。
1. 「管理職の仕事」を言葉にして渡す
多くの会社では、プレイヤーとして成果を出した人が、そのまま管理職になります。ところが、求められる仕事は大きく変わります。自分で成果を出すことから、チームで成果を出すことへ。この切り替えを本人任せにすると、実務を抱え込んだまま、管理の仕事が後回しになってしまいます。
明日から試せるのは、管理職の仕事を3〜5項目で書き出して、本人と一緒に確認することです。たとえば「方針を自分の言葉で伝える」「メンバーの状況を把握する」「部署間の調整をする」「人を育てる」といった具合です。そのうえで「今のあなたの時間は、この項目にどれくらい使えていますか」と問いかけてみてください。実務との配分を話し合うだけで、管理職自身の視点が変わります。
2. 判断してよい範囲を明確にする
板挟みの苦しさは、「自分で決めていいのか分からない」ところから生まれます。何でも上に確認すれば決定は遅くなり、確認しなければ後で叱られるかもしれない。この不安が、管理職を伝言役に変えてしまいます。
そこでおすすめしたいのが、「ここまでは自分で決めて、事後に報告してよい」という線を、金額・期限・影響範囲などで具体的に示すことです。最初は小さな範囲で構いません。線を引いたら、その範囲で下された判断は、たとえ結果が想定と違っても、まず尊重します。判断を任された経験が積み重なることで、管理職は自分の言葉で現場に語れるようになります。
3. 情報を「上から下」だけでなく「下から上」にも流す
経営の意図が現場に届く流れは整えても、現場の実情が経営に届く流れは弱い、という組織は意外に多いものです。すると管理職は、現場の声を胸にしまったまま、方針だけを伝える役回りになってしまいます。
具体策として、月に一度、30分だけ経営層と管理職が「現場で起きていること」を話す場を設けてみてください。議題は「最近メンバーから出た困りごと」「方針が伝わりにくかった点」の2つだけで十分です。経営側は解決策を急がず、まず聞くことに徹します。自分の声が上に届いていると感じられれば、管理職は現場に対しても、腹をくくって方針を説明できるようになります。
まとめ
管理職を「板挟み」から「要」に変えるのは、本人の頑張りではなく、役割の言語化、判断範囲の明確化、双方向の情報の流れという仕組みです。どれも大がかりな制度改革ではなく、今週の面談や会議から始められます。Earth Compass は、「躍動する組織を増やす」ことを目指し、管理職の役割整理や対話の場づくりを含め、組織づくりに伴走しています。管理職の力をもっと引き出したいとお考えの際は、お気軽にご相談ください。
